格安SIM(MVNO:仮想移動体通信事業者)の選択肢が以前よりも多くなったり、記事公開時点ではMNOの料金プランの値上げに関するニュースも見かけたりするようになりました。
MVNO選びの難しい点は、価格と回線品質の妥協点をどこに見出すかに尽きるといえます。反対にいえば、納得できる着地点を見つけることができると固定費の大幅な削減に寄与することができます。一部のメジャーな事業者中心ですが、以下を格安SIM選びの参考にしてもらえれば嬉しいです。
地理的には、関東北部の地方都市を中心に利用して、しばしば埼玉県や東京都に行く機会があるといったユースケースです。クラウドゲームはせずに、SNSやブラウジング、音楽ストリーミングサービス中心の利用です。データ利用量は約15GB/月、音声通話はするときとしないときの変動が大きいです。
以下に紹介コードやアフィリエイトリンクなどは貼っていません。
1. mineo
mineo(マイネオ)は格安SIM事業者の中でもメジャーな事業者です。 データ容量のマイピタか、通信速度から選ぶマイそくという二本柱のプランです。 低速通信の使い放題をはじめとする多彩なオプションプランが特長です。
auやdocomo回線よりも利用者が少ないソフトバンク回線だったためか、回線品質が悪いと感じる場面はあまりなかったです。 スピードテストでは概ねいつも2桁Mbpsが計測される状態でしたのでストレスなく使えました。 以下はオプションの一部とその仕組みについての、利用経験に基づいた個人的な考察です。
1.1 高速データ容量が使い切れなくなってしまう
個人的に利用した感想としては、高速通信容量を使うのをつい控えてしまう(デ・マーケティングが随所に散りばめられている)要素が多くてつねにデータを余らせてしまいました。 とにかくパケットが余ってしまい消費できなくなるという状況です。」
そしてそれが、転出のサンクコスト(これだけデータ容量が貯まっていてもったいない、使い切るまで他社に転入はしない!という動機づけ)になってしまいました。 ですが、もったいないと思いながらも、使い切れないデータ容量は無いものと同じだと捉えました。
けっきょく、100GB以上貯まった高速通信データ容量を振り切って私は他社に移りました。 高速データ容量の快適さよりも、データ容量の保持を優先して使わなかったり、本来は使い切るべきパケットを徹底的に貯めたり、ゆずるね。(平日昼にデータ通信を控えた日数によって特典がもらえるシステム)で、平日昼間に毎回スマホを使うのを自発的にやめたりするのはすこし違うなと感じ始めました。 月末までに消費すべき高速通信容量を温存するために、本来不要な低速モードでの利用をなんとなくしてしまいました。
また、ゆずるね。達成やその特典(夜間フリー、契約パケット付与など)のために、特定の時間帯の利用を控えるという「貢献」を意識しすぎてしまうことも多かったです。 上記について深く考えずに利用すればいいのかもしれませんが、せっかく便利なサービスがあるのに使わないのは損だという気持ちになってしまいました。
1.2 パケット放題(低速使い放題オプション)
パケット放題(1/3Mbpsの低速が使い放題)というオプションがあって、15GB以上のマイピタプランは無料で利用可能です。 これも一見魅力的なオプションですが、高速通信のパケットを消費するのがもったいないという意識が形成されて私には向いていませんでした。
一般的に、低速通信が使い放題ではない他社であれば、高速通信容量を必然的に使います。 ただ、mineoの場合は低速使い放題を良くも悪くも活用してしまいます。 必要以上に高速データ容量を大切にしてしまってそれが使いにくくなりました。 高速データ容量は、mineoにおいてはそれを貯蓄すべき「資産」として認識してしまう(させる)ようなギミックがある印象を受けました。
1.3 パスケット(無期限繰越オプション)
パスケットというオプションもあります。 月末に余ったデータ容量を無期限に繰越できるものです。 料金は110円/月で、マイピタの50GBプランを契約していると無料で利用可能です。 これを使った実感としては、パケット放題同様、高速通信のパケットを消費するのがもったいないという意識が形成されました。
日常はパケット放題で低速通信する→高速通信できるパケットが余る→パケットが貯まって嬉しくなる→月末に余ったパケットをパスケットに預ける…の繰り返しでたくさん貯まるといった循環が形成されます。 使うためのパケット(高速データ容量)が、貯めるためという目的に変換されるような感覚を覚えました。 パケット放題とパスケットを駆使したところ、3-4ヶ月ほどで100GBも貯まりました。 コミュニティサイトのマイネ王をみていると1,024GB(1TB)以上貯めている人も散見されます。
2. 日本通信
合理的プランが人気になって加入者が増加中の格安SIMです。 「合理的」の名前の通り、とても廉価なプランが多く、ライトユースであれば検討する余地があります。
首都圏(イオンレイクタウン)の平日昼の時間帯は、ブラウザでウェブページの読み込みがなかなかできませんでした。 いくら安いとはいえ、平日に東京都とその周辺に行く機会があるので個人的にはストレスになりそうでした。 ただ、平日昼はほとんど使わなかったり、テキストメッセージングやかんたんなブラウジングが中心であったりすれば、そこまで気になる点ではないかと思われます。
2.1. 初期費用とそれを安くする方法
契約申込時に初期費用がかかる(3千円台)点が特筆すべき点です。 スターターパックというエントリーコード付きの台紙がありますが、他の格安SIMとちがって平素は定価で、取扱店のセールのときにやや安くなるくらいです。 ほとんどの通販サイトで買えるものは、紙のパッケージが配送されるまで待つ必要があります。 ですが、Qoo10の「合理的プランスターターパック eチケット」だと、配送を待たずに購入後エントリーコードが確認できてすぐに申し込みができます。 時期にもよりますが、Qoo10を初めて利用する場合は初回購入限定で利用可能なクーポンもあるかもしれないです。 私は、日本通信のSIMを契約する際にQoo10でeチケットをクーポンで安く購入しました。 3千円台が2千円台になって、初期費用をすこし安くできました。
2.2. 通話オプションが数種類あって通話音質もいい
回線は遅めなものの「合理的みんなのプラン」は20GB 1,390円/月でとても安いです。 さらに上記には5分/回 or 70分累積/月の選べる通話定額がついてきます。 追加料金を払うと完全かけ放題も選択可能です。
通話は格安SIMとしては珍しく、VoLTE (HD+)に対応しています。 なので通話品質重視でVoLTE (HD+)対応スマホを持っている場合は検討してもよいと思います。
3. IIJmioのギガプラン データeSIM + povo2.0の通話eSIM
玄人向けですが、デュアル(e)SIM対応のスマホを持っているなら試したい組み合わせです。
私がこの組み合わせを見つけたオリジナルというわけではなく、格安SIMの情報サイトでこの組み合わせを知りました。 デュアルeSIM、ないしは物理SIM+eSIMという組み合わせに対応しているスマートフォンを持っている場合は試してみる動機はあると思います。 方法としては:
- povo2.0では通話(e)SIMを契約して、550円/月の5分かけ放題トッピングにだけ加入する
- IIJmioではドコモ回線のデータ専用eSIMを契約する
povoでは365日間使えるトッピングが発売されています。 以前メイン回線だったときは低容量(~10GB)や高容量(20GB~)が中心で、中容量(10~20GB)の選択肢が長期トッピング含め少なかった印象があります。 トッピングの選択肢と自分の消費データ量が合致すれば、データトッピングもあわせてpovo2.0だけで利用するのもいいユースケースだと思います。
IIJmioのギガプラン データeSIMは5GB 650円/月、10GB 1,050円/月、15GB 1,320円です。 5, 10GBなら合計でそれぞれ1,200円, 1,600円/月で、データと5分/回までのかけ放題が使えます。 IIJmioは次月までのデータ繰越があるので、初月だけ多めにデータ容量を契約すれば次月以降はバッファ(余裕分)が作れます。 ただし、契約月は付与データと料金が日割りなのでそれを計算に入れる必要があります。
初月のデータ容量:(初月の契約容量)*(契約月の残り日数)/(契約月の日数)
初月の利用料金:(初月のデータ料金)*(契約月の残り日数)/(契約月の日数)
30日ある月の11日に、10GB/1,050円のデータeSIMに加入した場合のデータ容量と料金(概算例):
初月のデータ容量: 10*20/30=約6.67GB
初月の利用料金: 1050*20/30=700円
多少消費データ量が上振れしても、繰越分でカバーが可能です。 契約する日にもよりますが、すこし多いデータ容量を契約してもいいと思います。
3.1. IIJmio回線の平日昼間の地方都市は決して遅くない
一番混雑するといわれる12:30付近に計測しました。 2026年1月26日12:40ではダウンロード16.1Mbps、アップロード3.32Mbps(ping 40ms)でした。 10Mbps以上出ているので、ブラウジング中心であれば問題ないと思われます。
その後は13時に近づくにつれて、20-40Mbps台に回復していきました。 たまに1桁台Mbpsの測定結果もあるものの、実際はそれよりも速度は出ている体感です。 IIJmioのデータeSIMを数カ月使ってみた実感としては、とてもストレスなく使用できています。
3.2. mineoほどではないが低速が使える
最大300kbpsの低速が、366MB/3日間まで使えます。 それに加えてバースト転送があります。 画像が少ないテキストベースのページや、読み込むデータがおおむね一定のラジオやポッドキャストなら、読み込み時間の短縮が期待できます。
ただ、メニューの画像が多いチェーン飲食店のモバイルオーダーといったシーンでは読み込みが遅かったです。 YouTube Musicの最高音質(256kbps)は曲中で1回は必ず途切れて再生し終わるのでかなりギリギリの速度かと思われます。 それより低い音質にすれば問題ないのではないかと考え実機で検証しました。 そうしたところ、普通(標準)音質だと途切れず視聴することができました。 その後使っていて切り替えが面倒になったこともありますが、低速はほとんど使わなくなりました。
IIJmioの目立たないメリットとしては、mineoと違って低速に制限がかかっても、高速データ容量があれば切り替えてそれを使えることです。 mineoだと10GB以上/3日間の制限があり、高速オンオフの切り替えはできないようです。
4. IIJmio(データeSIM)と楽天モバイル(~3GB運用)
上で紹介した IIJmioのギガプラン データeSIM + povo2.0の通話eSIM より、通話を重視した構成です。 楽天モバイルは利用データ量による段階制のプランです。 3GBまでであれば税込みで1,078円です。 年度末や新年度になると通話をする機会が増えるかと思います。 povo2.0の5分通話定額では問い合わせの電話といった場面ではすぐに超過しそうなので、Rakuten Linkでの通話が無制限な楽天モバイルに移行しました。
楽天モバイルの3GBのデータ通信は非常時用で、ふだんはIIJのデータ容量を消費しています。 というのも、楽天モバイルのデータ通信を居住地域の屋内でつかったところ、アンテナピクトが1-2本で不安定な印象を受けたからです。 また、Rakuten Linkの通話は、窓のない室内といった場所でなければそれほど途絶えることはないです。 体感としては、LINEやSignalの音声通話よりは快適でした。
まとめ
現在はIIJmio(データeSIM)と楽天モバイル(~3GB運用)で満足しています。 もちろんこれはマニアックな組み合わせで全員に勧められる構成ではないです。 ですが、主回線・副回線を組み合わせると通信障害時に備えた冗長性(リダンダンシー)の確保や、通信回線が繋がりにくいときにもう一方のキャリアの回線に切り替えて快適に通信することも可能になります。
以前と異なり、2年しばりといったルールはないのでMVNOのSIMを気軽に試すことが可能となっています。 MNOの3キャリアを使っていて携帯電話の料金を廉価にしたいという場合は試してみるのもよいかと思います。